中国語で「贼(zéi)」と聞くとまず「泥棒」という意味を思い浮かべる人が多いと思います。
しかし、中国東北地方の方言では、「贼冷」「贼好吃」のように、まったく違う意味で使われることがあります。
この記事では、中国語の「贼」が持つ基本的な意味と、東北方言で使われる「とても・めっちゃ」という用法を、日本人向けに整理します。
「贼(zéi)」の基本的な意味は「泥棒・悪人」
中国語の「贼(zéi)」は、基本的には「泥棒」「盗賊」という意味です。
または、「(国家・人民に害をなす)悪人」など。
日本語の「賊」と同じ漢字なので、日本人にとってもイメージしやすい単語だと思います!そのため、初めて「贼好吃」のような表現を見たときに、「え、悪い意味なの?」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、東北方言ではこの「贼」が副詞として使われることがあります。
東北方言では「とても・めっちゃ」の意味
中国東北地方の方言では、「贼」が「とても」「めっちゃ」という強調の意味でよく使われます。
たとえば、
・贼好吃
・贼冷
・人贼多
のように、後ろに形容詞を置いて使います。
普通話の「很(hěn)」に近いですが、もう少し口語的な表現です。日本語にすると、「とても」「すごく」「めっちゃ」に近いニュアンスです。
「贼」はネガティブな意味で使う?
「贼」は強調表現なので、文法的には良い意味にも悪い意味にも使えます。
ただし、実際の会話では「贼冷」「贼贵」「人贼多」のように、少し不満や驚きが入る場面で聞くことが多い印象です。
東北人の夫にも確認してみましたが、やはりどちらかというとマイナス寄りな内容に使う場合が多いみたいです。
もちろん地域差・個人差はありますし、「贼好吃」のように良い意味で使うこともあるため、「贼=ネガティブ」と決めつける必要はありません。
個人的には、日本人学習者はまず「感情や驚きが入る強調表現」として覚えておくと自然かつイメージしやすいと思います。
「贼」を使った例文
这家店人贼多,排队排了半个小时。
(Zhè jiā diàn rén zéi duō, páiduì páile bàn ge xiǎoshí.)
意味:この店は人が多すぎて、30分も並んだよ。
「人贼多」は実際によく聞いたフレーズです。
我今天贼累,回家只想躺着。
(Wǒ jīntiān zéi lèi, huí jiā zhǐ xiǎng tǎngzhe.)
意味:今日はすごい疲れた、帰ったら横になりたい。
今天外面贼冷,出门记得多穿点。
(Jīntiān wàimiàn zéi lěng, chūmén jìde duō chuān diǎn.)
意味:今日外はとても寒いから、出かけるなら厚着してね。
这件衣服贼贵,我有点买不起。
(Zhè jiàn yīfu zéi guì, wǒ yǒudiǎn mǎi bu qǐ.)
意味:この服めっちゃ高くて、ちょっと買えない。
这个菜贼好吃,我下次还想点。
(Zhège cài zéi hǎochī, wǒ xiàcì hái xiǎng diǎn.)
意味:この料理めっちゃおいしい、次もまた注文したい。
自分で使ってもいい?使う場面には注意
「贼」は便利な表現ですが、やや口語的です。
友達や家族との雑談では使いやすいですが、ビジネスの場面、試験の作文などでは使わない方が無難です。
最近はネットや動画などを通じて、東北地方以外でも「贼=とても」の用法を知っている人が増えているようです。
ただし、元々は方言なので、他地域では通じない可能性もあります。また、意味が通じたとしても、自然に使うかどうかは地域差・個人差があります。
中国語学習者の場合、まずは自分で積極的に使うよりも、「聞いてわかる表現」として覚えるのがおすすめです。
実体験として、義家族の前で使ってみたところ面白がってもらえたので、東北出身の人との会話で軽く使ってみると話のきっかけになるかもしれません。
まとめ
中国語の「贼」は、基本的には「泥棒」の意味です。
しかし、東北方言では、「とても・めっちゃ」という強調で使われることもあります。
「贼冷」は「めっちゃ寒い」、「贼好吃」は「めっちゃおいしい」など。
ややくだけた言い方なので、使う場面には注意が必要です。まずは自分で積極的に使うよりも、現地の会話や動画で出てきたときに意味がわかる表現として覚えておくのがおすすめです。
東北方言には、「贼」以外にも日本人が初見では意味を想像しにくい表現がたくさんあります。ほかの東北方言については、こちらの記事でも紹介しています。
【保存版】中国東北地方の方言フレーズまとめ|意味・例文付きで解説
